2022/3 子離れ

 2022/3/1

進路相談が終わってからビデオを渡して過去の自分と向き合って、これから頑張っていくと。

改めてじっくり考えてやっぱりプロを目指すと。


そういう話だった。


まずは来月のリーグ戦開幕に向けてコーチに相談した自主練メニューをしっかりこなす。

スタミナが落ちてるから毎日ランニングして体の準備をはじめる。

進路相談の後、親子でじっくりじっくり話し合い、そういう話になった。


そういう話のはずだった。


ところがそれから毎日やるやらないの繰り返し。なにかの蓋が開いたかのような開き直りっぷり。おとうさんはこの1週間毎日激昂してた。さすがに「明日から練習する」「昨日もそれ言ってた!」「今から走りに行く」「じゃぁ今行けよ!」こんな会話のまま何もしない日が連続するような事態は、ちょっと人として理解できた経験がない。だからさすがに激昂した。

「なんで今やるって言ってるものを今やらない???勝手に明日にして、しかもやらない!それで怒られてじゃぁ明日からって言ってたのが昨日!で、今日!やらないっていうのはなんなんだ!!」

毎日がこんな感じ。


見かねたママが間に入ってくれた。


最初におとうさんにじっくりと話しかけてくれた。

要は・・・

私もそうだったからわかるんだけど、ちびたは自分は万能で天才だと信じて疑ってない。自分の時は受験で失敗して、明らかな結果ではっきりと分かったけど、それでも自分は実は平凡だったから努力しなきゃいけないっていう風になるのにその後何年もかかった。あの子は自分よりその傾向が強い。だから今は何を言っても絶対おとうさんの言うことは聞かないと思う。今までもなんとなく誤魔化してきて、おとうさんも結局は甘いからちょっとやっては許して、ちょっと結果出ては許してでここまで来ちゃったんだと思う。

ということだと。

ママに言わせると何年か前からこの傾向は見えていたと言う。

なんとなく理解はしていたつもりだったけど。。。



それからちびたくんが帰ってくるまでの間、じっくりと昔のことを思い出しながら考えた。

小さい頃からの、いろんなことを思い出しながら・・・

そして、

もう分かったよ。とママに言って、

ちびたくんの帰りを待った。



帰ってきてからまずはママがじっくりと話す。ママがちびたくんの心境を代弁すると、驚いたことにちびたくんはまるっきり同意していた。すごいね。親子みたいだね。

「ちびたくんがそういう子だってことはよく分かってる。だからもうおとうさんはちびたくんのサッカーには関わらないようにしてもらいます。文句言われない代わりにサポートもないから、これからはなんでも自分で考えて自分で行動しなさい。」

「だから親のサポートが必要な進路は諦めてもらう。スカウトが来なければその時点で高校は都立に行ってもらってサッカーは続けられる範囲でやってもらう。」


その話を聞いておとうさんは、それだとさすがに絶望的だとツッコミを入れる。


「分かってる。でも大丈夫なの。ちびたは自信満々だからこの条件でもプロになれるって本気で信じてるから。だからこの条件でいいの。」


ママの言う通りちびたくんは簡単にこの条件をのんだ。ママの言う通り自信満々に。



こういう話になったってだけじゃなく、おとうさんの中でも納得はしていた。

「さすがに親離れしないとこれ無理だわ」と思ってたし、

「これを機に子離れしないとなぁ。。。。。。。。。。」

と。



ママとの話が終わってバトンタッチ。


じゃぁおとうさんの最後の言葉いいまーす。

まずさー、ちびたくんはさー、おとうさんが育てた。これは文句ないよね?ふたりとも。

ずっと一緒にいたからさー、ずっとおとうさんに付いてきてたよね。しょうがないけど。

でももう独り立ちしなさい。好きにやんなさい。もう何も言わないから。

おとうさんは本当にね、ちびたのサッカーに関わんなくても平気なんだ。元々サッカー好きだったわけじゃないし。むしろ、そんなだから上手く指導してやれなかったよね。10年一緒にやってきたけど、後半は怒ってばっかりだったように見えたんだろうな。でもそんなに怒ってるわけじゃなかったんだよ。信じないか。ごめんなー。

えーとね。一番楽しかったのは朝練かな。毎日楽しかった。だからほら、二日酔いでも全然頑張って起きてたろ?

あとカップ戦、関東大会ではいいもの見せてもらったし。オマエのサッカーでたくさんいい思いした。どーもありがとー。はいおとうさんのはなしは終わり。

照れくさいからぶっきらぼーに話してさっさと終了。

ちびたくんはすぐに出て行った。


浅い眠りを終え翌朝。子供たちを送り出した後ママと少し話した。

あれだけ必要だと話し合って約束をした練習をしないっていう状況についてのショックが自分の中でまだ大きい。あいつはもう練習をしないんだろうか?本当にそんなヤツになったんだろうか?

という私の問いにママは

絶対しないから。すこしでも期待しちゃダメ。

だって。


まぁでも、不思議と怒るとかはなくて。なんか楽しかった思い出ばっかり浮かんでくるんだ。静岡遠征行った時に一緒に食べた刺身丼うまかったとか。富山遠征の時の富山ブラック、アレはちびたくんには不評だった。


ママは「空の巣症候群って知ってる?子供が巣立った親が陥る心の病だって。」


へー。


まーそんなことよりね。

やっぱ思い出すと、小さい頃からおとうさんが一緒にいないとダメでね。まー物心つく前からずっと一緒だったから当然か。公園でも一瞬でもおとうさんが視界から消えると飛んでくるんだよ。サッカーやってる時も常におとうさんがどこにいるか確認してた。あいつにしてみれば、おとうさんに見せるためにやってたんだよね、サッカーを。それがわかってたから頑張って応援してやろうって、それで入れ込みすぎてしまった。

お腹が空いても、スパイクがすり減っても、なにかあればいつもまずおとうさんに言ってきた。試合後の自分のコンディションや対戦相手のスカウティングも、全部おとうさんを完全に信頼してアテにしていた。これからどんな練習してどのへんの弱点を潰していけばいいのか、そいう計画立ても全部おとうさんを頼りにしていた。

これからはそれじゃダメだ。本当は大抵小学校でおとうさんは息子のサッカーから卒業するものらしいよ。楽しかったもんだからおとうさんも先延ばしにしてしまった。

ちょっと遅くなったけど、親離れしないとだ。うん。ていうか子離れね。

もちろんさびしいよ。ずっとちびたを乗せてた自転車のチャイルドシートを処分した時と同じくらいさびしい。あの時は泣きそうになった。世話になったからねあのチャイルドシートには。やっぱりふたりっきりの思い出が多いよね。おとうさんとちびたは。


あいつに期待しないってのは今はまだ辛すぎるけど、まぁ今日からスタートで頑張っていくよ。どうも大変だね、親ってのは。


ママも、ちびたくんの育児ができなかった負い目もあるみたいで、この話をしている間泣いていた。


さてと。この日記もしばらく書くこともなさそうね。



コメント

  1. 現実は残酷すぎる。わかっているけど、夢は持っていて欲しい。
    自然と夢は叶わない。偶然はない。子供はわかっていない。後悔させたくないからアドバイスしている、でも空回り。

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  2. まーそうですよねー。昔から話はよく聞いたし自分の周りでも多かったですかね。
    中3になってしばらく経って、息子に随分変化が出たみたいなんで久しぶりに日記を書いてみようかな?と思いました。コメントありがとうございます。

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  3. スカウトが来なければ都立ということは東京ですか?滅茶苦茶サッカーのレベル高い地域ですね。

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  4. 小さい頃の日記は県立とかに変えてごまかして書いてました。今はほぼ誰も見てないのでつい。

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